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日産とインテリアデザイン 日産自動車では、2002年発売のキューブ、2003年発売のティアナ以降、特徴的なインテリアを持つモデルの開発・発売を積極的に行ってまいりました。今回、2006年インテリア特別仕様車シリーズ発売の背景を中心に、日産のインテリアデザインに対する考え方を改めて紹介いたします。 ●なぜ、インテリアなのか? 「自動車メーカーの競争がグローバルで激しさを増す中、自社のアイデンティティを車にどう表現していくか、それが非常に重要なテーマとなっています。我々はこの点を考えるにあたり、日本人の空間に対する考え方に再度着目しました。振り返ってみると、我々日本人は茶室に代表されるように、お客様をもてなす空間として外よりも中の空間に重きを置いてきた文化的な歴史があります。また、移動手段においても日本人はスピードではなく、移動する時間をいかに快適に過ごすかということに重きを置いてきました。そこで我々はJapanese DNAとも呼ぶべきこの空間に対する考え方を車に表現することこそ、自らのアイデンティティを表現する上で非常に重要な要素であると考え、これまで様々な取り組みを行ってまいりました。」と 中村史郎常務執行役員は語る。
またここ数年、日本ではインテリア全般に対するお客様の関心が急激に高まってきており、2003年のある調査では、未婚男性の25%、既婚男性の35%が「(自宅等の)インテリアに興味がある」と答えています。この流れは自動車にも波及し、クルマの購入決定プロセスにおいて、「車内でも華やかな気分でいたい」「居心地・内装が良い車に乗りたい」といった要素を女性のお客さまが重要視されるケースも増えてきています。こういった社会のトレンドも我々が現在インテリアに力を入れている一つの要因でもあるのです。また、そもそもクルマを意味する“Automobile”という単語は文字通り訳すと“動く家具”という意味を持っており、その意味では住空間とクルマ空間を区別すること自体が不自然でもあるとも言えます。 ●クルマにモダンリビング、という考え方。 「ティアナでは<モダンリビング>という考え方をクルマに取り入れることで、それまでのインテリアデザインの常識に挑戦したかった」とは、ティアナを担当した中島プロダクト・チーフ・デザイナー。 日本人は伝統的な日本建築に見られるように、無駄な装飾を極力排除し、自然の素材を生かしながら直線と平面をうまくバランスさせることで心地よい空間を作ってきました。このコンセプトは世界的な動きとしてのモダンデザインに大きな影響を与えています。
我々の考えるモダンリビングとは、こういった要素を踏襲し、運転する心地よさと同時に日本的なもてなしの心を追及した、リラックスできる快適な住空間のような移動空間のことです。 この<モダンリビングコンセプト>は、その後のティーダ、フーガ、シルフィにも順次取り入れ、2005年の東京モーターショーに出展したコンセプトカー「AMENIO(アメニオ)」では、その究極の形を表現しました。
そしてこのコンセプトは、2006年4月に発売したインテリア特別仕様車「モダンコレクション」シリーズにも踏襲されています。 ●インサートカラーコーディネーション モダンリビング空間の一つの手法として、淡色系の内装にあえて焦げ茶の家具や真っ赤なソファを置いたりするなど、挿し色によって独特な雰囲気を作り出す、ということが挙げられます。ティアナのインテリアでは、このインサートカラーコーディネーションを取り入れました。カラーデザイン部の牧野部長は、「これまでクルマの内装色は“ベージュ系”または“グレー系”が定番で、カラーコーディネーションも同系色の2色をまとめた程度。ティアナでは、あえてこれに“第三の色”としてアガートという青系のシート地をインサート。これにより、独創的なインテリアが提案できた」と、振り返ります。
2005年12月にマイナーチェンジしたティアナや、2006年4月に発売したインテリア特別仕様車「モダンコレクション」シリーズでは、インサートカラーとして「ワイマラナー」という“第三の色”を採用しています。 「ワイマラナー」とは、ドイツ・ワイマール地方で古くから貴族に愛された猟犬で、20世紀まで門外不出とされてきた希少種です。その毛並みは短く滑らかで、独特の光沢があり、色は微妙にグレーがかったダークブラウン。その質感をシート地に再現し、明るいベージュの内装色に配することで、コントラストのあるモダンなインテリアを表現しています。
●ハイコントラスト 2006年5月に発売した特別仕様車「スタイリッシュシルバーレザー」シリーズでは、ブラックの内装色にシルバーのような明るいグレーの本革シートを組み合わせました。シャープなコントラストを持たせた空間によってキビキビとした走りをイメージさせるスポーツセダンやSUVにふさわしい、緊張感を演出するインテリアに挑戦しています。
●日産とコンラン 日産は、2002年に欧州のデザイン拠点をロンドンに集約し、ニッサン・デザイン・ヨーロッパ社を開設。それを機に、ロンドンを拠点に活動するコンランとの関係がはじまりました。中村常務執行役員は、「日産がインテリアデザインに力を入れはじめ、コンランのモダンで心地よいインテリアに注目していた一方で、コンランはキューブのユニークなデザインを評価していた。お互いに共鳴するものがあった」と、コラボレーションのきっかけを説明します。
一緒に何かできないか、と模索した結果、コラボレーションモデルとして2003年の東京モーターショーに出展したコンセプトカー「キューブ キュービック+コンラン&パートナーズ」が誕生。同モデルのコンセプトをベースとした市販車「キューブ プラス コンラン」「キューブ キュービック プラス コンラン」は、2004年5月の発売後2週間で予約が生産計画台数(1,000台)に達するなど、インテリア人気のトレンドとあいまって注目を集めました。
●「ロンドンの赤」、「Boho-chic」、「マルチストライプ」 2006年6月、日産はコンランとのコラボレーションモデル第3弾(市販車としては第2弾)として3車種の特別仕様車を発表。
コラボレーション当初からのコンセプトをさらに積極的に表現した「キューブ+コンラン」では、グレーの内装に映える赤のレザーシートによってプレミアム感を醸し出しました。インサートカラーである赤は、ロンドンバスや電話ボックス、郵便ポストといった英国と日本の象徴でもあります。
「90年代後半以降現在にいたるまで、カラーコーディネートはモノトーン、金属的、クールといったキーワードが主流でしたが、近年は植物をモチーフとした暖色系も好まれるようになってきた。これは一部でBoho-chic(ボヘミアとシックの造語)と呼ばれ、ロンドンから発祥し、2005年ごろから世界中に広がってきている」と、牧野部長は最近のデザイントレンドについて説明します。
「マーチ+コンラン」では、このBoho-chicをテーマとしています。木漏れ日の様な大小の葉と花柄をあしらったモダンなシート地は、ファッション性を大胆に表現しています。フロアカーペットも同様の柄としていますが、「花を踏むのはかわいそう」とのデザイナーの思いやりから、花柄は描かれませんでした。
そして、マルチストライプも、近年服飾や小物に見られるデザイントレンドの一つです。
「ラフェスタ+コンラン」では、ラフェスタの最大の特徴であるパノラミックルーフのシェードに、オーニング(日よけ)の様なストライプをあしらいました。シートのパイピング(玉縁)、専用のフロアカーペットにも取り入れたこのストライプは、パラソルやデッキチェアなど英国調のピクニックの雰囲気をイメージしており、ドライブを一層ワクワクさせる演出です。
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