2. 工場見学

- 工場見学で使用した電動カート -
工場内はとても広いために、移動には電動カートを使用し、工場内では1.エンジン工場、2.車両工場、3.車両倉庫・列車の順で見学をしました。
工場の敷地内にはリージョナル・トレーニングセンターがあり、ここでは日本の追浜工場にあるグローバル・トレーニングセンターで学んだ人が、マスタートレーナーとして指導にあたっているそうです。
(1)エンジン工場

- エンジン工場内部の様子 -


エンジン加工工程では生産量の多いエンジンのラインでは、一つのラインで複数のタイプを生産する混流生産を行うことで効率を高めています。またこのラインでは日本の横浜工場と同じ設備を使用しており、エンジンの改良等による寸法等の設定変更に柔軟に対応できるようになっています。
一方、生産量が少なく1日の作業が数時間で終わってしまうようなエンジンのラインでは、一人で複数の工程を受け持ち、時間を有効活用するキャラバン生産を行い効率を高めています。
手作業中心のエンジン組立工程では作業者の付加軽減のために、必要な部品一式を一つの箱に入れて組み付けミスを防止するキット供給の導入や、床にクッション性のあるマットを敷くという対策を行なっています。
また、各工程内の品質保証設備で不具合は発見される仕組みになっているために、エンジン完成後は全体の75%のみ抜き出して検査を行なっています。75%というこの比率は今後、品質を保ちながらさらに減らしていきたいと考えています。
(2)車両工場

- 車両工場内部の様子 -


車両工場はプレス機を用いて鋼板を金型で打ち抜くプレス工程から始まります。プレス機や金型は高額であるために、ここではアグアスカリエンテス工場に加えてメキシコ国内のもう一つの工場であるクエルナバカ工場に送る分のプレスも行っています。
プレス工程で打ち抜かれた鋼板は車体工程へと運ばれ、溶接されて車のボディーとなります。この工程でのアグアスカリエンテス工場の特徴は競争力の高い労務費を活かして、日本では自動化しているサブアッセンブリー作業を人間による手作業で行い、設備投資を抑えてコスト削減をしていることです。その結果、日本の追浜工場では92%となっているこの工程での自動化率は72%となっています。
また、自動化されている部分についてはNIMS(Nissan Integrated Manufacturing System)ラインとよばれる標準設備を導入しメンテナンスを容易にすることで、設備の故障を少なくすることが出来ています。
車体工程を終えた車は塗装工程を経て、組立工程へと運ばれます。塗装工程では色を切り替える際に、ホースに残った塗料を捨てなければならないためにロスが発生します。そのために最大17台まで同じ色の車を連続させることで、そのロスを軽減しています。
また、組立工程では日本の追浜工場で始まったモノの流れの整流化に、「からくり」と呼ばれる安価な自動化を組み合わせたコスト削減活動であるiFA(integrated Factory Automation)の推進を2007年から行ない、1台当りの製造コストが日産のトップクラスであるという強みを維持しています。
(3)車両倉庫・列車

- 列車と積まれるのを待つ車 -

完成した車は車両倉庫で保管しています。メキシコで販売するために運ばれてきた日本やアメリカで生産された車もこの倉庫に集められ、納車前の整備の効率を集中化して高めています。
完成した車は倉庫で保管された後に、毎日運行している列車で輸送しています。アメリカまでは場所にもよりますが、1週間から20日間くらいを要します。列車はアメリカに行った帰りに、アメリカで生産されたメキシコ向けの車を積んで帰ってきます。
列車の貨車には2段積みと3段積みの2種類あります。できる限り効率のいい3段を使いたいものの、車高が高い車の場合は2段しか使うことが出来ません。
第4部 まとめ
コスト削減という言葉だけでは分かりづらい部分をお伝えするために、今回は可能な限りアグアスカリエンテス工場の具体的な取組みをご紹介しました。
今回はコストに注目しましたが、日産自動車では日産生産方式(NPW: Nissan Production Way)を推進し、品質・コスト・時間(納期)それぞれについてお客様のニーズに対応するための改善と改革を世界中の工場で行っています。今後も様々な工場での活動を取り上げていきますので、ぜひご期待下さい。
今回でインサイド日産の一つ目のテーマである「メキシコ日産訪問」は終了です。これからも皆様により深く日産を理解していただくために、定期的に「日産自動車の内側」をレポートしていきます。ぜひ、ご期待下さい。
