日産自動車では世界的にみて競争力が高い国々をリーディング・コンペティティブ・カントリー(以降LCC)と呼び、価格とサービスの両面で優れたこれらの国々の活用を進めています。
今回そのようなLCCの一つであり、アメリカや欧州向けの重要な生産拠点と位置づけられるメキシコに行き、メキシコ日産の本社とアグアスカリエンテス工場を訪問したのでご紹介します。
第3部 アグアスカリエンテス工場
メキシコ第2の工場として1983年に稼動を開始したアグアスカリエンテス工場はメキシコシティーから飛行機で約1時間、そこから車で30分のところにあります。荒野の中に現れた工場には、見学の際に電動カートに乗らなければならない程の大きさ、想像以上に自動化されていたこと、完成した車を列車で運ぶための駅が隣接されている等、様々な点に驚かされました。ここではメキシコ日産の生産部門VPのアルマンド・アヴィラによる工場概要の説明と工場見学の様子をご紹介します。

- メキシコ国内主要拠点 -

- アグアスカリエンテス空港 -


- アグアスカリエンテス工場外観 -


1. 工場概要
アグアスカリエンテス工場はクエルナバカ工場に次ぐメキシコ第2の工場で、当初はプレス部品とエンジンの生産だけでしたが、1992年から車両の生産も開始しました。2007年末の従業員数は車両生産が3,690人、エンジンをはじめとしたパワートレイン生産が1,863人の計5,553人であり、平均年齢が男性は30歳、女性は29歳と若い人が多いのが特徴です。生産車種はプラティーナ、ヴァーサ(日本名:ティーダ)、セントラ、ルノー クリオとなっています。
工場を設立する際に、アグアスカリエンテスを選んだ大きな理由は次の通りで、それぞれ設立を検討した時に考えていた通りの効果を発揮しています。
- 地名(Aguascalientes)の通り、工場に欠かせない水があること(スペイン語で水はAgua)
- メキシコの中央に位置しており、国内外各所へのアクセスがよいこと
- 労務費が競争力のある水準であること
- 労働組合と企業との関係が友好である地域であること
- 州からの援助があったこと
最近のアグアスカリエンテス工場で最も注目すべき点は2006年8月に3班2交代制を導入を中心に生産能力を203千台から350千台に引き上げたことです。
3班2交代は3つの班が1日当り2つあるシフトを交代で担当することで、連続稼動を可能にすることを目的としています。この3班2交代の導入によりアグアスカリエンテス工場の稼働日は恒常的に週6日となりました。また、それぞれの稼動日でほぼ終日稼動できるようになったことも加わり、年間の総稼働時間は導入前に対して46%も増加しました。
なお、3班2交代を開始するにあたり、1,400名を新規採用しました。開始直後の離職率が想定していたよりも低くかった上、軌道に乗ってきた現在は開始直後の水準を大きく下回っています。また、その際に通勤可能圏内の労働人口を調べたところ10,000人おり、今後さらに拡大するとしても労働力の確保に対する不安はなさそうです。
この設備投資を伴わない3班2交代の導入による生産能力の飛躍的な増加によりメキシコ日産は日産自動車社内で2006年度のグローバル日産社長賞を受賞しました。
1台当りの製造コストはこの3班2交代が貢献して日産の中でトップクラスであり、メキシコが世界の日産のベンチマークになっています。それだけではなく品質でもアグアスカリエンテス工場のヴァーサの品質は日本の追浜工場と同レベルと高い水準となっています。
今後は競争力をより強化するためにCVT(無段変速機)を隣接しているジヤトコメキシコから購入する等、現地調達率は上げていきたいと考えています。そのために近年はサプライヤーの教育にも力を入れています。
