2007年6月20日
第108回定時株主総会 カルロス ゴーン スピーチ原稿 事業報告 しかしながら、日産は将来に向けて着実に前進しています。魅力的な競争力のある商品で、ブランド力強化を図ってきました。人財と設備に投資を行い、技術革新を追求してきたのです。私どもは長期的な視点から様々な土台を築いているのです。 本日は2006年度の実績をご説明した上で、将来に向けた数多くの投資についてお話しさせていただきます。
2006年度実績 2006年度のグローバル販売台数は348万3,000台となり、前年比2.4%減となりました。グローバルで複数の主力商品を含め、10車種の新型車を投入しました。
国内の全体需要は前年から4.1%落ち込みました。軽自動車は4.2%伸びる一方、登録車は8.3%減少しました。当社の国内販売台数は前年比12.1%減の74万台となり、市場占有率は1.2ポイント減の13.2%に留まりました。 米国の全体需要は前年比3.4%減となり、当社の販売台数は前年比4.0%減の103万5,000台となりました。通期の市場占有率は前年とほぼ同水準の6.3%でした。 会計年度が暦年ベースの欧州では、全体需要が横ばいの中、当社の販売台数も前年とほぼ同水準の54万台となりました。 一般海外市場の販売は前年比5.1%増の116万8,000台となりました。 2006年度財務実績
当社は2006年度の通期業績目標が未達に終わった結果を真摯に受け止めています。昨年は総額3億9,000万円の役員賞与を支給しましたが、2006年度は、役員賞与を支給する提案はいたしません。 2006年度決算以降、2007年6月に機関投資家を対象に1000億円の社債を発行し、将来の資金ニーズに備えました。確かに連結ベースでは一定の実質手許資金を確保しているものの、海外での余剰資金を有効活用し、株主の皆さんにとって最適な結果を出すため、国内の魅力的な資金調達コストを活用し、社債を発行することにしました。短期資金に依存し過ぎるのを回避し、状況に応じて長期資金の調達を行うことにしています。 日産バリューアップの進捗状況 2006年度の実績は日産バリューアップの目標達成に貢献しませんでした。しかし、当社には中期計画のコミットメントを実現する潜在力があり、引き続きコミットメント完遂に全力を尽くします。 従って、日産バリューアップの全てのコミットメントの達成時期を一年延長することとしました。 同時に、次の事業計画の策定も継続し、一年後に発表する予定です。 2006年度、日産バリューアップの中心となる、四つのブレークスルーは確実な前進を遂げました。 一つ目のブレークスルーはインフィニティを、世界に名だたるラグジュアリー・ブランドにすることです。2005年度にはインフィニティを韓国に投入しました。2006年度には急成長を遂げるロシア市場に投入し、滑り出しは順調です。 2007年にはグローバル展開を加速し、中国とウクライナ、2008年には西ヨーロッパ全体に拡大していきます。 新規市場に対応するべく、新車投入も控えています。G35セダンに続いて、今年はG37クーペとコンパクト・ラグジュアリ・クロスオーバーのEXを発売する予定です。 今後、インフィニティは急成長を果たします。 二つ目のブレークスルーは小型商用車、LCVのプレゼンスをグローバルに強化することです。 小型商用車のグローバル販売台数は日産バリューアップ開始以来、57%伸び、2006年度には490,000台に達しました。更に、売上高営業利益率のコミットメントである8%も過達したのです。今や小型商用車は当社のグローバル事業を支える確かな柱となり、更に勢いを増していくでしょう。 三つ目のブレークスルーは部品、機械、設備、ベンダーツーリング、そしてサービスを、リーディング・コンペティティブ・カントリー(LCC)、すなわち価格競争力のある国々から調達することです。 日本向けの調達先は、中国とアセアン諸国、北米向けはメキシコ、欧州については東欧にそれぞれ確立しています。活動を加速させるべく、次のステップではインドで調達先を確保します。 2006年度、日・米・欧の購入額の15%をLCCが占めましたが、2005年度は12%でした。2007年度はこれを加速し、24%まで拡大する予定です。 四つ目のブレークスルーは新興市場、いわゆるBRICsと今後台頭してくる国々における地理的拡大です。 ブラジル事業には1億5,000万ドルにのぼる投資を行い、2009年までに40,000台の販売台数を達成する見込みです。 ロシアでは、サンクトペテルブルグの工場に2億ドルの投資を行い、2009年の操業開始時には50,000台の生産能力を確保します。 インドでは、ルノーと共にマヒンドラ・マヒンドラと提携します。3社共同でチェンナイに新工場を建設し、2009年に操業を開始する予定です。生産能力は将来的に40万台を予定しています。 中国においては、2003年以来、東風との合弁事業に16億ドルを投じ、最近では、エンジン工場と研究開発センターを新設しました。 2007年度の見通し
現在、私どもは業績向上を目指し、事業内容の調整を行っています。短期的な課題に取り組むと同時に、長期的な目標も見据えて、従業員のモチベーション向上と参画に注視しています。 2007年度のグローバル販売台数は前年比6.2%増の370万台を見込んでおります。 4月26日に2007年度の業績予測の届出を、東京証券取引所に提出しました。今年度は連結売上高10兆3,000億円、連結営業利益8000億円、そして当期純利益4800億円を見込んでおります。 2007年度第一四半期については、主として車種構成の大幅な悪化と、実効税率の上昇により、前年同期を下回る結果を、予算に織り込んでおります。 しかしながら、2007年度の通期予測に変更はありません。 株主価値 株主の皆さまの一時的な苛立ちはご尤もです。私自身フラストレーションを感じています。日産の株式は複数の理由から過小評価されているからです。現在、その原因を調査しています。理由の大部分は長期的な業績に対する見通しです。最近の業績も理由の一部でしょう。また、当社の会計基準やその開示方法が競合他社と異なることから投資家の方々にとって十分に分かりやすいものではなかったということもあります。 私どもは以上の問題に対して、対策を講じています。これらの問題を解消する為に打って出る対策にご期待下さい。 日産は明確な事業計画と明確な目標を掲げています。従業員、サプライヤーの方々、そして勿論、株主の皆さまを含めたすべてのステークホルダーに、当社の戦略に対するご理解を深めていただき、ご支援いただけるような、明快なコミュニケーションを行うことをお約束します。 日産は株主の皆さまに可能な限り最大のリターンをご提供することを目指しています。株主の皆さまとの透明性のある関係と、持続可能な配当政策を通じて、皆さまのご信頼とご支援を獲得したいと思っております。本日は、2006年度の期末配当金として一株当たり17円をご提案する予定ですが、これにより年間配当金は一株あたり34円となります。2007年度については既に提案させていただいた年間配当金40円に変更はありません。 今後の展望 ブランド力の向上 現時点で、ニッサンとインフィニティのブランドはかなり改善しているものの、いずれもその中間辺りに位置しています。当社は依然として、企業ブランドの魅力よりも、個別車種の商品力によって成功しているのです。 従って、ブランド力向上は極めて重要です。粘り強く、一貫して、お客様とのあらゆる接点に集中すると同時に、並行して二つの分野に取り組まなくてはなりません。
ベンチマークをすると、今のところ日産は、競争力よりも魅力度の点で勝っています。デザインの魅力とドライビング・プレジャー(走る楽しみ)については定評があります。例えば国内ではスカイラインとフェアレディZ、米国ではアルティマとインフィニティG35、欧州ではエクストレイル、一般海外市場の多くの国々ではパトロールが、それぞれ日産ブランドを代表しています。 また、日産のクルマ作りの力は、GT-Rによって、更に強化されるでしょう。新型GT-Rは、スーパーカーとしての性能を持ちながら、誰でも、いつでも、どこでも運転できるクルマです。 GT-Rは日産の力強い伝統を象徴し、会社の持つ力を具現化し、将来の約束を予見させます。日産の情熱と技術力の高さに疑問の余地はありません。GT-Rがそれを証明するでしょう。現在、ドイツで行っているGT-Rの車両評価の模様をご覧いただき、その興奮をご自身で体感していただきたいと思います。 是非、10月の東京モーターショーと、12月にはショウルームにお越しいただいて、実車をご覧ください。 新車攻勢
日産バリューアップで予定している28車種の新型車の発売後、次の三年間は33を越える新商品を投入予定です。これは平均すると、ほぼひと月に1車種、新車発売がある計算になります。 人財への投資 日産の将来は今まで以上にグローバルになる中、世界中の人財の力を結集しなくてはなりません。であるからこそ、日産は多様性を包含する企業文化の醸成に取り組んでいるのです。私どもは、あらゆる国々の最も才能ある、やる気に溢れた人々から見て、日産を、実績だけがチャンスの扉を開く職場だと評価される会社にしたいと思います。 当社は人と就業環境に投資を行い、従業員がより効率的且つ、機能横断的な仕事のできる職場を提供しています。例えば
株主の皆さまには、従業員が効果的且つ組織横断的な活動を行うのに必要な手段と就業環境を整えることが、高い業績につながることをご理解いただけるでしょう。 社会への投資 日産は今年始めたサステナビリティ・レポートのスコアカードを通じて、9つの重点分野における目標と進捗状況を公開することで、透明性向上を図っています。私どもは持続可能な利益ある成長を目指す中、全てのステークホルダーの信頼を獲得したいと思っています。 革新 1990年代、当社の財務基盤は疲弊しており、日産のブランド・アイデンティティの中核である、技術革新のイメージを維持することができませんでした。 1999年以降、年間の研究開発費は倍増し、2007年度にはほぼ5,000億円に達します。しかし、費用の拡大は取り組みの一部に過ぎません。当社の研究及び先行開発機能は1999年に対して5倍以上、効率が向上しました。 焦点の定まらない、単発的な技術革新ではなく、安定した、機能横断的な革新を促す企業文化を確立したのです。また、アライアンスを通じて、ルノーの研究開発部門と多くの協力関係を築きました。両社は共同で、あらゆる分野で進歩を遂げています。 世界初の技術である四輪アクティブステアを、最近投入した新型スカイラインに搭載したのに続き、2007年度には8つの日産独自の技術を商品化します。例えば安全技術である車間維持支援システム、レーン・ディパーチャー・プリベンション、アラウンド・ビューモニター等、複数の世界初の技術を投入していきます。更に2009年度から3年間に、毎年15を越える新技術を商品化する予定です。これはすなわち過去7年間にわたって計画的に投資してきたことの結果が実を結ぶことを意味しています。 しかし、最も切迫した研究開発の課題は、社会が求める環境対応です。その一環として、先行開発の予算の4割を、環境戦略の5ヵ年計画であるニッサン・グリーン・プログラム2010に充当しています。 自動車業界にとって、環境の持続可能性は最大の技術課題です。日産はルノーと共に、あらゆる環境技術を追求していきます。ハイブリッドから燃料電池、電気自動車、そしてクリーン・ディーゼル等、全ての可能性を模索しています。 4月には、米国全州で日産初のクリーン・ディーゼル搭載の乗用車を2010年に発売すると発表しました。クリーン・ディーゼル車第一号であるマキシマは、日産・ルノーが共同開発したエンジンを採用することになります。 国内では、NECと合弁会社を設立し、次世代の電動車両の動力源となる、高性能リチウムイオンバッテリーの開発・販売を目指します。 新設したばかりの日産先進技術開発センターは、あらゆる領域における画期的な技術の研究・先行開発を加速させることになるでしょう。焦点の定まった技術は再び日産の競争力となり、ブランド・アイデンティティの中核となるのです。 まとめ 向かうべき方向ははっきりしています。そこに辿り着く手段も分かっています。ルノーとのアライアンスを通じて、大きな相乗効果とメリットを実現しています。最後までやり抜くためのエネルギー、将来のために必要な資源も確保しています。7.4%の営業利益率を誇り、営業活動による堅調なキャッシュ・フローも1兆円を越えています。 力強い企業は決してつまずかないのではなく、常にそこから学び、正しい方向を維持しているのです。日産も2006年度の経験から多くの教訓を学び、競争力を磨きました。今後の日産にご期待ください。 ではこれより、本日ご提案する5件の決議事項についてご説明したいと思います。お送りしました招集通知をご参照ください。その後、ご質問にお答えしたいと思います。
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