2006年6月27日

 

第107回定時株主総会

カルロス ゴーン スピーチ原稿



はじめに

本日は日産自動車の第107回定時株主総会にお出でいただきましてありがとうございます。

昨年に引き続き今年もこの横浜で、開催するはこびとなりましたが、それには訳があります。横浜は日産自動車生誕の地であり、当社の生産拠点や研究開発拠点は神奈川県に集中しています。また、2年前に発表しましたように、私どもは再び故郷に戻り、本社をみなとみらい地区に移転する予定です。

2年前、本社移転は2010年までに行うと申し上げましたが、本日は、当初の予定より早く横浜に移ることを発表させていただきます。新本社は横浜開港150周年の2009年には完成するでしょう。

では新社屋のイメージをご覧ください。

この「可能性という大海を突き進む帆船-ふね-」をテーマにした新本社が、横浜港の地平線に、この地に相応しい、美しい彩(いろどり)を加えることができれば幸いです。

新社屋の美しさは表面的なものに留まりません。先進的な環境に優しい機能に加えて、最先端の地震・防火対策を導入する予定です。新しい本社は、シンプル且つ柔軟性に富み、機能的であると同時に美しさを備えたグローバルな価値創造の中心となります。

立地条件も理想的です。横浜の主要な駅は徒歩5分の圏内にあり、主な事業所との距離も近くなります。私どもは故郷の横浜に戻れるのを楽しみにしております。

では2005年度の営業報告に移りたいと思います。

2005年度は当社にとって移行期でした。日産180の三つのコミットメントを完遂し、完全復活を遂げると同時に、次のステップである長期的な利益ある成長を目的とした日産バリューアップが順調に進んでいます。

また、2005年度は逆風と激動の一年でもありました。エネルギー費と原材料価格の高騰、法規制の強化と共に金利が大幅に上昇したのです。競争激化の中、当社はコストの増加の大半を吸収しなければならず、これが利益を圧迫し、成長を減速させる結果となりました。更に、昨年度は日産バリューアップ期間中、最も新車投入の数の少ない、谷間の年でもありました。

このような状況下、当社は全ての課題に挑み、全てのコミットメントを果たしました。2005年度、日産は過去最高益とグローバル自動車業界トップレベルの売上高営業利益率を達成したことをご報告いたします。

本日は2005年度の実績をご説明して、日産バリューアップの進捗状況と、今年度の業績見通しについてお話しいたします

 

2005年度実績

2005年の当社のグローバル販売台数は356万9,000台となり、前年比5.3%増となりました。2005年度はグローバルで7車種の新型車を投入しました。

国内の販売台数は前年比0.7%減の84万2,000台となり、期待を下回る結果となりました。前年までの成長を維持することができなかったのです。一方、軽自動車の販売は心強い結果となり、新型モコとオッティの健闘により、前年比39.6%増を記録しました。しかし、市場占有率は0.2ポイント減の14.4%に留まりました。

米国における販売台数は前年比6.1%増の107万5,000台となり、新車投入のない中、2年連続して過去最高の販売を記録しました。

ニッサン・チャンネルの販売は6.8%増加しました。モデル末期にも拘わらず、アルティマとセントラは好調です。ムラーノとタイタンは引き続き新規のお客様の注目を集めています。

インフィニティ・チャンネルの販売は前年比1.3%増の13万4,000台となり、再び過去最高記録を更新しました。新型Mセダンが牽引役となり、28,000台の販売を達成しました。

米国における市場占有率は過去最高の6.3%に達し、前年の6%から上昇しました。

会計年度が暦年ベースの欧州では、販売台数は前年とほぼ同水準の54万1,000台となりました。欧州では、高収益を見込めるセグメントのムラーノ、ナバラ ピックアップ等の収益性の最大化に努めます。特にロシアにおける販売は好調な一方、ドイツとイタリアの売上は芳しくありませんでした。ドイツとイタリアでは現在、リストラクチャリングが順調に進んでいます。

メキシコとカナダを含む一般海外市場の販売は、前年比13%増の111万1,000台となりました。国別では、中国の販売台数は53.4%増の29万7,000台に達しました。成功に大きく寄与したのは中国の2006年カー・オブ・ザ・イヤーに輝いたティーダで、同じく中国の2005年カー・オブ・ザ・イヤーとなったティアナに続きました。

湾岸諸国と中南米における好調な販売が、台湾、タイ、そしてオーストラリアの台数減を補いました。

 

2005年度財務実績

当社の連結財務実績は高い水準を維持しています。2005年度の連結売上高は9兆4,283億円となり、前年比9.9%増となりました。

連結営業利益は前年度から1.2%増加し、過去最高の8,718億円となりました。また、売上高営業利益率は9.2%に達し、引き続きグローバル自動車業界トップレベルを維持しています。

当期純利益は5,181億円となり、前年から58億円増加しましたが、これは一株あたり126円94銭に相当します。

日産の慢性的な負債は今や過去のことです。2005年度末現在の実質手元資金は3,729億円となりました。日産グループの年金基金に2,222億円拠出したものの、年度の初めから1,671億円増加しました。

2005年度末の投下資本利益率は19.4%となり、日産バリューアップの3年間平均で20%以上というコミットメントに対し、計画通りです。

後ほど、一株当り15円の中間配当金を提案させていただきますが、これで2005年度の年間配当金は一株当り29円となります。これは2年前にお約束しました3年間のコミットメント通りの金額です。

また、当社はビジネス環境の変化に速やかに対応する為、自社株式の取得を取締役会で決議しましたが、これは弊社定款に則った内容です。

尚、自社株の取得と、単独決算の詳細につきましては、お手元の第107期報告書をご覧ください。

 

日産バリューアップの進捗状況

2006年度は当社の三つ目の中期計画である日産バリューアップの二年目にあたります。日産バリューアップは持続可能な利益ある成長を目的としています。今までの事業計画と同様に、日産バリューアップでは三つのコミットメントを掲げています。

一つ目のコミットメントは2005年度から2007年度の毎年度、グローバル自動車業界トップレベルの売上高営業利益率を維持することです。

二つ目はグローバル販売台数420万台を2008年度末までに達成することです。

三つ目のコミットメントは3年間平均で、投下資本利益率20%以上を確保することです。

日産バリューアップでは、4つの主なブレークスルーを目指しています。現在の進捗状況をご説明しましょう。

一つ目のブレークスルーはインフィニティを、世界で名だたるラグジュアリー・ブランドにすることです。去年の韓国への導入は成功を収めました。2005年のインフィニティのグローバル販売台数は148,000台となり、前年の142,000台から増加しましたが、これは新型MとG35の健闘によるものです。

韓国の新しい店舗を手始めに、当社はインフィニティ・ブランドの活気を表現するショウルームづくりに取り組んでいます。この取り組みは、全世界で展開しつつありますが、これによりショウルームの外観と雰囲気に一貫性を持たせ、お客様により良いカーライフを提供し、ブランドの強化を図っています。

今年はロシアにインフィニティを導入し、中国への導入は2007年を予定しています。また、2008年には、広く欧州全土で、新規の専業の販売チャンネルを通じてインフィニティを導入します。欧州は大半の高級車ブランドのホーム・マーケットですが、次世代のインフィニティのクルマで、欧州のラグジュアリー・セグメントのお客様に、今までになかった新しいご提案ができると信じています。

二つ目のブレークスルーである小型商用車は、日産バリューアップのコミットメントを前倒しで達成する見込みであり、当社のグローバル事業の柱としての役割を確かなものにするでしょう。小型商用車の目標とは、売上高営業利益率8%、販売台数434,000台を2007年度末に達成することです。これは2004年度に対し、営業利益率で二倍、販売台数では40%増に匹敵します。

2005年度、小型商用車は7.7%の売上高営業利益率、前年比28.2%増の販売台数400,000台を実現しましたが、特に中国と一般海外市場は顕著な伸びを示しています。

2006年度から2007年度には小型商用車の新車を4車種投入します。また、小型商用車専門のディーラーをまずは日本、続いて欧州に設立し、お客様のサービス向上に努めます。更に北米に専門チームを設けて、戦略を実行します。

三つ目のブレークスルーであるリーディング・コンペティティブ・カントリー、競争力のある国々からの調達、LCC活動も進んでいます。購買部門、開発部門、管理部門、そして経理部門は、LCCからのグローバルな部品、ベンダーツーリング、サービスの調達を増やすコミットメントを掲げています。

現在、中国とタイを中心にLCC活動を行っています。これらの国々における活動と、これからのインドでの活動が、今後のグローバルなベンチマークとなり、当社の全体的なコスト競争力強化の一助となるでしょう。

また、間接業務を含め、研究開発、情報システム、生産等に関わる様々な総務関連業務の更なる業務委託/海外移転を追求しますが、これは、コストを削減し、社員を付加価値のあるコア業務に集中させることを目的としています。2005年度には140億円の初期コスト削減を実現しました。

四つ目のブレークスルーである地理的拡大も予定通り進んでいます。また、複数の地域で新しい生産設備と販売網も整備されつつあります。

・中国では、今後の拡大と現地化に備えて、46億円の投資を行い、乗用車事業のテクニカル・センターを新設しました。更に86億円の投資を行い、花都工場の生産能力を80%拡大し、年末には27万台まで増強します。
・ 2005年4月には、ウクライナにニッサンとインフィニティの両方を扱う販売会社を新設しました。
・ エジプトでは、昨年12月にサニーの生産が始まりました。
・ インドには、昨年6月に子会社を設立しましたが、スズキ株式会社さんの生産拠点を活用して拡大を図ります。
・ ロシアにおける事業は成功を収め、当社にとって益々重要な市場になりつつあります。当社はロシアに生産拠点を新設することを決定しました。場所はサンクト・ペテルブルグです。ロシア市場向けの複数の車種を生産することになる同工場には、2億米ドルを投資することになります。

ルノー日産アライアンスは引き続きステークホルダーの価値を生み出しています。ルノー日産アライアンスは今やグローバル自動車業界の上位4社に入り、2005年度の販売台数は610万台にのぼりました。アライアンス発足以降、両社の時価総額は、他の競合他社やグループを凌ぐ勢いで、飛躍的に増加しました。日産は健全な企業として成長を続け、ルノーも健全で成長を加速化しています。

去年、私は、ルノーの社長兼CEOを兼任することを発表しました。あれから1年が経ちましたが、両社には、今まで以上にシナジー効果を生み出す可能性があることが改めて分かりました。

アライアンスは最初から青写真が用意されているわけではありません。ルノーと日産は新たなパートナーシップのあり方の先駆者だからです。アライアンスは他にはない、永続するチャンスです。アライアンスには微妙なバランスと強い決意が必要ですが、長期に亘って、着実に運営し、皆様のご期待に応える自信があります。

アライアンスは各社の業績を向上させる、有効で柔軟性のあるツールです。双方の利益となる機会を生み出し、資本提携やより単純で持続可能な協業関係を結ぶことで、可能性は更に広がります。

6月2日に発表したスズキ株式会社さんとの協力関係の拡大は、アライアンス以外の協業関係の代表例です。スズキ株式会社さんとの関係は、アライアンスと同様に、信頼と相互利益の原則に基づいたものです。今回の合意で、国内では、スズキさんから新たな軽自動車の供給を受け、欧州ではAセグメントの新型車の供給を受けることになります。また、インドではスズキさんの生産拠点を活用し、成長する同市場におけるプレゼンスの確立を図ります。一方、日産は米国と日本で、スズキさんに商品を提供し、同社のラインアップ拡充に寄与します。双方の利益となる今回の合意は、両社のグローバルな競争力強化につながるでしょう。

 

株主価値

ではここで、2005年度の当社の株価の推移をご説明します。

2004年度末から2005年度までの間、日産の株価は27.2%上昇しました。先ごろ、世界中の株式市場は、冒頭で申し上げました厳しい状況もあり、大幅に下落しました。自動車メーカーの株価も例外ではありません。当社の株価は特に大きな影響を受け、今年の最高値であった一株当り1,526円から昨日時点では一株当り1,216円となりました。

当初から、2006年度の上期は商品投入が極めて少ないということは分かっていました。また、市場にもその旨、発表済みです。とはいえ、目を引くのは現在の状況であって、予測ではありません。当初の予想通り、2006年度上期は販売と営業利益が下がる可能性があります。

今年の10月以降は、数多くの商品イベントを控えています。グローバルで8車種の新型車を投入し、内3車種は米国で発売します。これには量販車種と収益車種のアルティマとインフィニティG35も含まれます。新車攻勢の勢いは日産バリューアップが終了する2007年まで続きます。株式市場は時間をかけて当社の業績を評価するでしょう。

新型車の発売によって、既に大きな前進を遂げた当社のブランド強化の活動は、更に加速するでしょう。ブランド評価には複数の重要な指標を設けています。ではいくつか例をお見せしましょう。

まずは商品価値です。ご覧の通り着実に改善しています。

JDパワーのアピールは、購入後2ヶ月から6ヶ月までのお客様のクルマに対する印象を評価したスコアです。優れたデザイン、性能、装備によって、当社のスコアは飛躍的に改善しました。インフィニティは強力な商品ラインアップに支えられ、高級車ブランドの平均値を上回っています。

もうひとつの先行指標は、インセンティブに対する依存度です。CNWの報告にあるように、米国でニッサン・チャンネルとインフィニティ・チャンネルは共にインセンティブを抑制し、ご覧のように、当社のインセンティブは業界平均を大きく下回っています。

品質については、6月初旬に発表された、当社が重視する最新のJDパワー初期品質調査によると、日産は大きな進歩を遂げました。特に心強い結果を出したのは、ミシシッピー州キャントン工場製の商品で、以前は懸念があったものの、改善しています。これはキャントン製のクルマのサービス保証費が83%減少したことにも表れてます。

お客様の期待は急速に変化しており、日産はその変化に適応していかなくてはなりません。私どもの目標は、ナンバーワンの品質を実現することです。まだ道のりは長いですが、今までの着実な進歩は励みになります。

生産の効率性に関しては、影響力のある北米ハーバーレポートによると、日産が、1台の生産に要する時間は28.46時間で、業界をリードしています。

当社の総合価値とブランド力は向上しています。2003年から2005年の当社の経済価値の上昇率は、ビジネスウィーク誌のグローバル・ブランド・ランキングによると、自動車業界で最も成長著しいものでした。

お客様の情緒に訴えて、魅力を感じていただける商品と力強いブランドは自動車メーカーの成功に不可欠です。しかし、それぞれの側面において、持続的な成功を収めるには、長期的な価値創造に取り組まなくてはなりません。

価値創造の考え方は、今や全社的に浸透しています。日産バリューアップの三つのコミットメントである、収益性、販売台数の増大、そして投資の効率性は、長期的な価値を左右する鍵です。これら三つのコミットメントの達成は、価値創造をもたらすものであり、ですからこそ、「バリューアップ」なのです。

日産バリューアップのコミットメント達成に向けて、当社は価値創造に基づく業績評価と報酬制度を設けました。コミットメント達成の為に執行役員が果たすべき責任は、かれらの報酬に反映されています。

当社のストックオプション制度は、役員が好景気や、為替変動に便乗して獲得できるものではありません。権利を行使するには、個別の事業上の目標を達成する必要があります。言い換えると、役員は株主に価値をもたらしてはじめて、報酬として見返りが期待できます。簡単に行使できるものではないのです。

 

2006年度の見通し

先ほど申し上げましたように、2006年度は上期と下期とでは様相が大きく変わる予定です。上期の状況は厳しく、台数と利益は下がると見込んでいます。

一方、下期には新車投入に伴い、販売台数が10%以上拡大し、収益性が改善します。2006年度にはグローバルで9車種の新型車を投入する予定です。上期には1車種、下期には8車種の新車投入を行います。

2006年度は、地域別に、合計で23の商品イベントを予定しています。

グローバル全体需要は6,390万台を前提に、2006年度の当社のグローバル販売目標は370万台以上です。日・米・欧の全体需要はよくても横ばい。一般海外市場については中国や中東等の主要市場の拡大を想定しています。

新車投入で最も重要なのは米国です。米国市場は引き続き、当社の利益の大半を生み出しています。米国には、新型アルティマ、セントラ、インフィニティG35セダンを皮切りに、新車攻勢が始まり、日産バリューアップ以降も続きます。

新車投入に支えられ、米国の販売目標は前年比2.3%増の110万台です。全体需要は前年と同水準の1,690万台を想定しています。

去年、北米日産の本社をカリフォルニア州からテネシー州に移転することを発表しました。当社はテネシー州に主要な生産拠点を構えています。来週から北米日産の社員は仮住まいのナッシュビルのビルに移り、2008年開設予定の新本社の完成を待ちます。米国内の事業所を近在させることで、事業所間の効率性と有効性の大幅な向上を図りますが、新たなマネジメント・チームがそのメリットを実現できると信じています。

2006年度の国内の全体需要は590万台を想定しておりますが、昨年度に比べて横ばいです。4月に設定しました当社の販売目標は84万6,000台で、昨年度の実績とほぼ同水準です。今後の全体需要の見通しと、車種構成の悪化、そして第一四半期の日産の販売台数を見る限り、2006年度の当社の国内販売台数は80万台から84万6,000台の間になると見込んでいます。

国内では新型スカイライン・セダンと新型の小型商用車を発売予定です。更に、下期には新型の軽乗用車2車種を投入し、成長する軽自動車市場のラインアップを拡充します。

先ほど申し上げましたように、国内の販売状況には満足しておりません。しかし、解決策を社内で見出し、具体的な対策を講じて、業績の向上を図ります。

日本市場における当社の計画は単純ではありませんし、達成しやすいわけでもありません。日産は顧客志向を徹底し、利益ある持続的なビジネスを通じて、適切な商品ラインアップとサービスを、効率的な販売網で提供しなくてはなりません。

2005年、当社はレッド・ステージとブルー・ステージの併売を発表いたしました。これにより、お客様の利便性と販売・サービスの柔軟性は向上しました。今回の変更で優秀な販売会社が更に成長しただけでなく、お客様対応とサービス水準が高まりました。

また、2006年4月には、連結販売会社を販売事業会社と資産管理会社に分割しました。不動産、建屋等の資産管理会社として、日産ネットワークホールディングスが来月設立予定です。この結果、販売担当者は、本来の販売と顧客サービス業務に集中することが可能になりました。

これにより、販売体制は強化され、顧客満足度は改善するでしょう。当社は国内の販売網における効率性・収益性・お客様対応の向上に向け、更に対策をとっていきます。

国内向け商品については、次世代のブレークスルーとなるクルマづくりを行っています。今後は複数のセグメントに、刺激的な新型車を投入すると同時に、車種数が多すぎる市場については、ラインアップの合理化を行います。

ホーム・マーケットである日本における成功は、私どもにとって極めて重要です。しかし、他の市場と同様に、日本における成否を判断するのは、持続的な顧客満足度の向上と収益性であって、市場占有率ではありません。競合他社が販売台数と市場占有率を追求する中、当社は強い決意をもって、価値創造と顧客持続的な満足度の向上を徹底します。

欧州では新型の小型商用車と新しいコンパクト・クロスオーバーを投入し、販売目標は前年比3.7%増の56万1,000台です。ロシアにおける販売は引き続き好調で、リストラクチャリングが開始して6ヶ月になるドイツでも、成長の兆しが見られます。欧州における全体需要は2,040万台を見込んでいます。

メキシコとカナダを含む一般海外市場では、中国や中東等の市場の成長を見据えて、当社の販売目標は前年比10.1%増の122万3,000台です。今年の後半に、新たに登場するグローバル・カー第一弾を投入する最初の地域はアジアです。

一般海外市場における成長は、日・米・欧の需要の横ばいが予想される中、極めて重要です。

2006年度は通期に亘り、厳しい環境が続くでしょう。為替レートの変動、原材料価格とエネルギー費の高騰に加えて、金利も上昇するでしょう。インセンティブは高い水準で推移し、当社は主要市場において容赦ない競争に晒されています。

数々の障壁を克服する唯一の手段は日産バリューアップのコミットメントを全て達成することです。

以上を鑑みて、2006年度の業績予測は次の通り、東京証券取引所に届出を行っております。

・連結売上高は前年比6.9%増の10兆750億円です。
・ 連結営業利益は前年比0.9%増の8,800億円を見込んでおります。
・ 経常利益は8,700億円を予想しております。
・ 連結当期純利益は5,230億円です。
・ 設備投資は5,500億円となり、売上高の5.5%を見込んでいます。
・ 研究開発費は4,900億円を見込んでおり、売上高の4.9%を想定しています。
・ 投下資本利益率は20%です。

 

まとめ

日産は再び過去最高の営業利益と税引き後当期利益を記録しました。これは正に、22万人にのぼる世界中の日産社員、販売会社、そしてサプライヤーの方々の多大な努力の賜物です。また、お客様と投資家の皆様にも改めてお礼申し上げます。

確かに過去最高の年でしたが、厳しい1年でもありました。商品イベントが極めて少ない中、当社は多方面からの逆風に晒され、舵取りする余地はほとんどありませんでした。

インセンティブ競争が続く中、自動車業界は益々、価値創造ではなく、目先の台数を追求する傾向が強まっています。クルマを商品力ではなく、値引きで売り支えることは、今まで以上に自動車業界が、特に安全性と環境対応の面で革新性が求められている今、破壊的行為です。

安全性、環境対応等の課題は、CSR、企業の社会的責任に関わります。具体的な取り組みについては、本日、お配りしますサステイナビリティ・レポートをご覧いただければご理解いただけるでしょう。また、総会終了後に、私どもの企業市民としての活動を紹介するビデオを上映する予定です。企業の社会的責任は、この現代において、決定的な要素です。

改めて申し上げますが、極めて厳しい年に、日産が記録を更新したことは、私どものファイティング・スピリットの証です。この7年間、数々の高いハードルを乗り越えることを通じて、当社は競争する自信がつきました。自己満足は許されません。日産バリューアップのコミットメント達成の保証はどこにもありません。私どもは改めて、成功に向かって高い目標を目指さなくてはなりません。そして日産は必ずや、やり遂げるものと信じてください。

ありがとうございました。