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日産 童話と絵本のグランプリ
第22回(2005年度)入賞作品
第22回絵本の部・大賞 (※掲載している作品は受賞時点のものです。出版作品とは異なる場合があります。)

ハルとカミナリ
作/千葉 三奈子



ある日、ハルの家にカミナリがやってきた。


今日は、年に1度のへそまつりの日。
へそ狩りを手伝いに、雲の上に出発。
へそ狩りときいて、ハルは少し心配になった。


くもの上には、カミナリの家がたくさんあった。


「ただいまー」
うちの中ではカミナリ母さんが、へそまつりの準備で大忙し


「さっそく、へそ狩りをしよう」
カミナリが言った。
ハルは、また心配になってへそを押えた。
畑に行くと、へその実がいっぱいなっていた。


「へその木は、子どものへそを埋めると生えてくるんだぁ」
「今はへその実があるから、子どものへそは少ししかとらねぇ」と、カミナリは言った。ハルはますます心配になって、へそをギュッと押えた。


うちへ戻ると、へそまつりの準備を手伝った。
ごちそうを運んだり、へそ酒を作ったり、忙しくてへその事はすっかり忘れていた。


月が出る頃、カミナリたちが集まってきた。
へそまつりのはじまり、はじまり。
へそ酒のんで、ごちそう食べて、歌っておどって大さわぎ。


「へそ狩りは、うまくいったんかぁ」誰かがきいた。すると
「いいや、まだだぁ」と、カミナリが答えた。
カミナリたちの目が、キラッと光った。


ハルは嫌な予感がして、走って逃げだした。
「へそ、よこせー。まてー」
カミナリたちが、叫びながら追いかけてきた。
「キャーッ、つかまっちゃう」 と思ったら・・・


目を覚ますと、そこはハルの部屋だった。全部、ゆめだった。
「あーっ、ゆめで良かった」
ハルがほっとした、その時・・・
誰かが窓をたたきました。

「ゆめだけど、ゆめじゃないかも・・・」


千葉 三奈子(ちば みなこ)
33歳 造形作家 埼玉県幸手市
<受賞のことば>
 受賞の知らせをきき、あらためて心ひきしまる想いです。この想いを忘れず、創作に励みます。ありがとうございました。

短評
 西欧のカミナリ様のような妙な絵には魅力がある。画面の質感がまた何時の時代かと思わせる効果を出し、何処の話と迷わせる。人物、情景の表現に独自のまとまりを見せる優れた技術だが、終幕が夢とは惜しまれる。(杉田 豊)


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