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日産 童話と絵本のグランプリ
第22回(2005年度)入賞作品
第22回絵本の部・優秀賞 (※掲載している作品は受賞時点のものです。出版作品とは異なる場合があります。)

ぼくの畑だぞ
作/成田 良和



とつぜん、パパが畑をかりた。
なんでも市役所という ところが おおきな市民農園を、
はじめてつくり、100人くらいを 募集 したらしい。
だだぴろく、整地されているだけの場所で、
パパが、かりたところは 9坪のひろさ なんだそうだ。


ぼくが さいしょに、おおきなスコップで ほりおこしたんだ。
そのあと 妹が、ウンウンいいながら ちいさいスコップで ほっていた。

日曜日になると、パパは畑にいこうと ぼくを さそう。
わからないわけでは ないけれど、
小学6年生にもなると、塾にも いかなくてはならないし、
いえで テレビゲームをしているほうが、ましだと 思っている。


日曜日、畑では いっせいに 種をまいたり 苗をうえたりで、おおにぎわいだ。
ここで ぼくは、はじめて 知った。
種をねらって、カラスが むれをなして やってくることを。
ぼくたちが かえったあと、カラスはなんと 土をほじくりかえし 種をたべるんだ。
種の ありかが、わかるらしい『カラス あなどれん!!』


ママは洗濯物が ふえるからと、まったく畑にいく けはい がない。
でも、そのわりには『スーパーで、ニンジンが たかいから つくると助かるわ』
といって、あれこれ 口をだしてくる。
おとこの ぼくとしては、パパに加勢して たくさん つくろうと決心した。


夏になると ひるまは、暑いので
朝5時くらいに でかけるか、
夕方すずしくなってから でかけるのか、どちらかだ。
お百姓さんの苦労が、すこしわかったような きがした。


あるちき、妹が畑のまんなかに、穴を ほりはじめた。
畑に いくたびに、穴を おおきくするものだから、
雨がふって、池のように なってしまった。
『まったく、なにを かんがえているんだか』


パパと園芸店へ いって、ぼくはイチゴの苗を かった。
畑のなかに、ぼくだけのイチゴ畑を ひもで かこって つくった。

イチゴがなったら ママに売って、おこずかいを かせぐぞと 思っていたら いつのまにか、妹も ひもで かこって イチゴ畑を つくりだしていた。

妹なんかに負けるものか、ぼくのほうが ぜったい あまいはずだ。
妹には ないしょで、あとから肥料を しっかり やっているからね!!


そうそう、いま 思いだても むねがドキドキする。
サツマイモの収穫のとき、おおきなスコップで いっきに ほりおこしたら
な、なんと ヘビが いっしょにとびだしてきた。
『ひやあー』
みんな、いちもくさんに とびのいた! 心臓が とびだした!!


さあ、収穫だ。
トウモロコシ と トマト 、ナス 、大根 、ニンジン 、タマネギ 、それに スイカ。
『ばんざい!! ばんざい!! 大量 大量!!』


いちねんが すぎて、また春がきた。
おおきな おおきな市民農園では、いちめん菜の花畑、
花の においが、風にのって やってくる。


畑では、たくさんのひとが 集まって つくっているから、
いろんなことを おしえてくれる。
ぼくは、畑でつくる やさいで、季節がわかるようになった。
それに、
なんといっても、空気が きもちいいて いうか、
畑にくると、なんか 落ち着くんだよね。

たから、ぼくは 思う、
ここは ぼくの畑だぞ てね。


成田 良和(なりた よしかず)
52歳 会社員(経理) 岐阜県岐阜市
<受賞のことば>
 一番喜んでくれたであろう、父と母(久美子・日本画家)のお墓に報告ができました。描くほどに、絵本としての完成度をもっと高めなければと痛感しています。絵本の主人公を含め家族全員(5人)で表彰式に行くぞと、毎夜盛り上がっています。本当にありがとうございました。

●第18回ニッサン童話と絵本のグランプリ優秀賞
●第19回ニッサン童話と絵本のグランプリ佳作

短評
 重厚な色づかいに圧倒される中、後半の明るい展開はみごと。汗を流して収穫の喜びを得るというテーマは、現代の重要な問題を訴えていて好感がもてる一方、この絵における人物表現は子どもに伝わるかは疑問。(向川 幹雄)


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