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日産 童話と絵本のグランプリ
第22回(2005年度)入賞作品
第22回絵本の部・優秀賞 (※掲載している作品は受賞時点のものです。出版作品とは異なる場合があります。)

空色のツバメ
作/富田 真矢



ツバメが、歌っている
ランラン ルルル スイスイ スーイ
ルンルン リリリ スイスイ スーイ
すっかり わすれて すっきり するよ
すてきな ところ スイスイ スーイ
いこうよ きみも スイスイ スーイ


「うわぁ、ずいぶん気持ちよさそうね。」
ミツバチが、花から顔をだした。
「いっしょに、スイスイ、スーイって、飛んでもいい?」
ツバメは、空色の羽を、ヒュンと、ひるがえして、
「ああ!いいさ。」


ふたりでいっしょに、スイスイ、スーイ、ブンブンと飛んでいくと、
「カッカァ、ずいぶん気持ちよさそうだカァ。」
メガホンみたいな声のカラスが。
「いっしょに、スイスイ、スーイって、飛んでもいいカァ?」
ツバメは、また羽をひるがえしながら、
「ああ!いいさ。」


スイスイ、スーイ、ブンブン、カァカァと飛んでいくと、
「おいおい、ずいぶん気持ちよさそうだな。いっしょに、スイスイ、スーイって飛んでもいいか?」
トンビが、風を切り、山からおりてきた。
「ああ!いいさ。」


スイスイ、スーイ、ブンブン、カァカァ、ピーヨロロと飛んでいくと、
「やあやあ、ずいぶん気持ちよさそうだね。いっしょに、スイスイ、スーイって飛んでもいいかな?」
インドクジャクが、キラッキラと、じまんの羽を、ひろげてみせた。
「ああ!いいさ。」


スイスイ、スーイ、ブンブン、カァカァ、ピーヨロロ、キラッキラと飛んでいくと、
「私も、スイスイ、スーイって、飛びたいなぁ。」
ふんわり、小さなワタボウシ。
「ああ!いいさ。」


スイスイ、スーイ、ブンブン、カァカァ、ピーヨロロ、キラッキラ、フンワリフワフワと飛んでいくと、
「スイスイ、スーイと、ごいっしょしてもいいかな?」
雲のように大きいヘリコプター。
「ああ!いいさ。」


こうして、スイスイ、スーイ、ブンブン、カァカァ、ピーヨロロ、キラッキラ、フンワリフワフワ、ブルン、ブルン、ブルンと飛んでいくと、
「あれっ?」
ミツバチが、大きな声をあげた。
「ずうーっと、スイスイ、スーイって、飛んでいるつもりだったのに・・・。」


「私ったら、ブンブンって飛んでる!」それを聞いて、カラスは、
「ボクなんかカァカァだカァ。」
「こっちは、ピーヨロロだよ、まったくなさけない。」
みんな、スイスイ、スーイと飛べないことに気がついて、すっかり、元気がなくなってしまった。
なんだか、飛ぶのが、つまらなくなって、ミツバチは、とうとう泣き出してしまった。
ところが、ツバメはどんどん飛んでいく。


「んん、なんだ、あれは?」
みんなが見ていると、ツバメは、その一番上の高い所におしりを
「ペタン。」


そうして、スイスイと、すべりだした。
みんなも次々に、おしりを、
「ペタン。」
と、のせて、すべりだした。


「あれれれれー、スイスイいくぞー。」
カラスが、メガホンの声で、さけぶと、
「ああ!すべり台さ。」
ツバメの声が、風にのって、ひろがった。


「スイスイ、スーイ、気持ちいいー。」
「スイスイ、スーイ、ヤッホー!」


思いきり、すべったみんなは、大満足。
しょんぼりしていたのが、うそのように、元気いっぱいになった。
「明日も、すべり台、すべりたいなぁ。」
ミツバチが、夢みるような顔で言うと、


ツバメは、歌いながら、
「ああ!いいさ。」
ヒュンと、ひるがえった、空色の羽が、夕日にてらされて、金色にかがやいた。
ランラン ルルル スイスイ スーイ
ルンルン リリリ スイスイ スーイ


富田 真矢(とみた しんや)
44歳 非常勤講師 福岡県筑紫野市
<受賞のことば>
 わが子は、公園に行くと、まっ先に大きなすべり台へと走っていました。そうして階段をのぼってはすべり、またのぼってはすべり…と。まるですべり台の魔力にとりつかれたかのように。あのすべる幸せをなんとか表現したかったのです。魔力にやられていた、かつての子供として。ありがとうございました。

●第17回ニッサン童話と絵本のグランプリ優秀賞
●第18回ニッサン童話と絵本のグランプリ佳作
●第20回ニッサン童話と絵本のグランプリ優秀賞
●第21回ニッサン童話と絵本のグランプリ優秀賞

短評
 毎回受賞という中でやや停滞の感あり。しかし、レベルの高いところの停滞だ。今一歩の踏ん張りが最後の壁を突き抜けた後の拡がりを決定付けることになるのだろう。過去の受賞歴が充分な力量を証明している。頑張れ。(杉浦 範茂)


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