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日産 童話と絵本のグランプリ
第20回(2003年度)入賞作品
第20回絵本の部・大賞 (※掲載している作品は受賞時点のものです。出版作品とは異なる場合があります。)

かかしごん
作/成田 聡子


みわたすかぎりの畑の山に かかしごんはポ
ツンと立っています。かかしごんの仕事は畑
を守ること。かかしごんは1人ぼっち。


でも たまには鳥さんたちが日なたぼっこに
やって来たり、


たまには かかしごんの苦手なヘビくんが
かかしごんをびっくりさせようと いたずら
をしに来たり、


たまには ねずみさんたちが畑のおこぼれを
はいしゃくしに来たりします。


かかしごんには願い事があります。それは
畑を抜け出して、みんなのように動きまわっ
て どこか遠くに行ってみたいということで
す。でも かかしごんは動くことができませ
ん。なにせ、かかしなのだから。それでも
かかしごんは何日も、何ヶ月も、何年も願い
つづけました。


そして ある日のことです。かかしごんの木
のうでから ニョッキと指が出てきました。
うでも 動くではありませんか! かかしご
んがびっくりして うでをバタバタしている
と、


鳥さんたちがやって来て、飛び方を教えてく
れました。しだいに かかしごんは飛べるよ
うになって


雲の上を 鳥さんたちとお散歩です。おっ
下に海が見えます。鳥さんたちと しばしお
別れして


水はちょっぴり こわいけど


イカの大群にまじって、海の中をスイスイ。
泳ぎつかれたかかしごんは


夜の森でひとやすみ。


こんどは土の中へ。かかしごんの帽子はドリ
ルとなって 土の中をグルグル 自由自在に
つき進んでいきます。


そして 土の上の野原に出ました。そこでは
草のにおいがプーンとしています。草のにお
いをかいだかかしごんは、むしょうに畑が恋
しくなりました。そして畑に戻ってみること
にしました。


久しぶりに畑に会えて、かかしごんはうれし
くなってきました。なかなか かかしごんと
畑はしっくりときます。そして、畑を守る日
々が再びはじまりました。


そして ときどきかかしごんは旅に出ます。


成田 聡子(なりた さとこ)
33歳 自営業 愛知県名古屋市
<受賞のことば>
 ほんとうにうれしいです。
これを励みに、もっととんでもなく素敵な絵本が描けるように日々精進していきたいと思います。
ありがとうございました。

●第19回ニッサン童話と絵本のグランプリ優秀賞受賞

短評
 白地に黒とグレーの醸し出す画面には妙に広がりのある空間があり、見る者の目を癒やす。筋立ても和やかで絵と有機的に係わり合う絵本になっている。その気楽に見える絵の技は、精密で我慢の心から生まれた。(杉田 豊)


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