日産グローバルTOP
ニッサン童話と絵本のグランプリ
第19回(2002年度)入賞作品
第19回絵本の部・優秀賞

ほしのむらのケルル
作/山口 深雪


ほしのむらの まんなかにある ムロムロやまの てっぺんに、ケルルは ことりの ポポと、すんでいます。
「ねえ ポポ。きょうも ほしのこうぼうにいってみようよ。」
そういうと、ケルルは はしりだしました。


ほしのこうぼうでは、むらの ひとたちが、てわけして おほしさまを
つくっています。

ケルルが、そのようすを そーっと みていると・・・。


「おやおや ケルル、また きたのかね。」ほしづくりの めいじんの、コウじいさんです。

「うん。ぼく、おほしさまが だいすきなの。それに、みんな とっても たのしそうに つくってるから、なんだか ぼくまで ワクワクしちゃうんだ。」
「そうかい、そうかい。ほっほっほっ。」
コウじいさんは、うれしそうに うなづきました。
「それなら ケルル、おまえも つくってみるかい?」
「えっ? つくっても いいの? やったー!」


「ではケルル、まず オーギーのもりに いって、ほしのきを さがすのじゃ。
ほしのきは きいろい はっぱで、あか〜いほしのみが なっておる。
そのほしのみと はっぱを、ひとつずつ とっておいで。」
「うん。わかった。
でも どこに あるのかなあ・・・。
あっ。みつけたぞー!」


「よしよし。つぎに、とってきた ほしのみを、はんぶんに わってごらん。なかからほしのたねが でてきたじゃろう?」
「うん。ちいさくて あかいのが 7こ、でてきたよ。」
「ほっほっほ。そりゃまた たくさん はいっておったのう。それに あかいたねっていうのも めずらしいんじゃぞ。
では、そのたねを ナイフで けずって、ほしの かたちに できるかな?」
「うひゃあ むずかしいなあ。」
「それから、ほしのむらに つたわる ひみつの キララぐすりを かけて、ほしのきのはっぱで よ〜く みがくのじゃ。」

ケルルは いっしょうけんめい みがきました。
すると ほしのたねは、だんだん だんだんキラキラと かがやきだしました。
「できたあ。」


あしながの ムクムクが、できあがった おほしさまを とりにきました。
ケルルは さっそく おほしさまを さしだして いいました。
「ぼくも おほしさま、つくったの。ちっちゃいけど、ぼくのも おねがいします。」
「まかしときなよう。」
ムクムクは ながい てを のばして おほしさまを うけとると、カゴの いちばん うえに そっと のせました。


ムクムクは、おほしさまで いっぱいの カゴを ひょいと もちあげると、ゆっくりと あるきだしました。
そして、たいようが やまに しずみはじめたころ、やまの てっぺんに ポンポンいけがある いけのやまを、おおまたで またぎました。
「よっこらしょ。」
そのときです。
ケルルの おほしさまが、カゴから コロッコロッと ころがって、ポンポンいけに ポチャン ポチャンと おちていってしまったのです。
ところが、ムクムクは ちっとも きづきません。
のんきに はなうたを うたいながら、いってしまいました。


ほしのむらの はじっこに つくと、ムクムクは つぎから つぎへと おほしさまをよぞらに かざっていきました。

そして、よぞらが おほしさまで いっぱいに なったころ、ムクムクは やっと きがついたのです。
「あれあれぇ?
ケルルの おほしさまが ないぞう。」


よぞらに ほしが ひとつ、またひとつ、かがやきだすのを、ケルルは ドキドキしながら みつめていました。
「ぼくの おほしさま、まだかなあ。」
くちもとからは しぜんに わらいが こみあげてきます。
「うふふふふっ。」

そこへ、ムクムクが しょんぼりした かおで もどってきました。
「ごめんよう。ケルル。
きみの おほしさま、おっことしちゃった みたいなんだよう。
さがしたんだけど みつからないんだよう。ほんとうに ごめんよう。」


「ぼくの おほしさま、みたかったのにー。」
ケルルは、むらじゅうに ひびきわたるような おおごえで、なきだしました。

ムクムクが いくら あやまっても、ケルルの なみだは とまりません。
「ぼくの おほしさま、どこに いっちゃったの?」


「そのころ、ポンポンいけの そこでは、はじめてみる おほしさまに、さかなの かぞくが うっとりしていました。

とおくのほうで、ケルルの なきごえが まだ かすかに きこえています。


山口 深雪(やまぐち みゆき)
32歳 イラストレーター 京都府京都市
<受賞のことば>
 福岡県は星野村、そこが私の故郷です。星がきれいなこの村のどこかで、村人達が星を作っていたら・・・という想像から、この作品が生まれました。
絵本を創る作業は楽しい反面難しいものですが、この賞を励みに、あたたかくて優しくて、鮮やかでつめたくて、まっすぐで元気な絵本が描きたいです。どうもありがとうございました。

●第18回ニッサン童話と絵本のグランプリ佳作受賞

短評
 ご自分のスタイルをもち、全場面を通して安定した表現を保っていらっしゃるのに感心しました。ただ、ストーリーには不満が残りました。もう一工夫あれば、絵にもさらなる広がりが出たのではと思いますが……。(松岡 享子)


入賞作品一覧に戻る